Weekend Theater 2006年3月号

このページに掲載されている記事の著作権は著者「安田 昇」にあります。
転載、転用はご自由ですが、著作権は放棄しておりません。
3-01(2006年3月3日掲載)

おはよ〜。

ひな祭りですね。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
ご存知、金曜ホラー劇場。
お楽しみください。


少年は毎朝勤勉に新聞を配って回った。
少年の担当区域はお屋敷が多く、門から門へ回るのは
結構大変な作業だったが、まだ薄暗いうちから
彼はまるでマラソン選手のように忍耐強く仕事をこなした。
ある朝、あるお屋敷の門にある新聞受けに
いつものように新聞を入れようとすると、門柱の上に人影があった。
その人影は、こちらを見て口に一指し指を当て、「しーっ。」と言った。
良く見ると、手には刃渡りの長い包丁をきらめかせていた。
しかし少年はひるまなかった。
「あっ!泥棒!泥棒だー!」
少年は大きな声を上げ、路地を曲がった先にある交番に向かって
全速力で走った。うしろで門柱を飛び降りる音がした。

生憎泥棒は逃したが、彼の行動はそのお屋敷の主人に伝わった。
警官と現場検証に現れた少年に、お屋敷の主人は礼を述べた。
「ありがとう。君は勇敢だね。」
少年は照れながら答えた。
「いえ。朝刊です。」
3-02(2006年3月10日掲載)

おはよ〜。

啓蟄が過ぎました。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
ご存知、金曜ホラー劇場。
お楽しみください。


語 手「スーパーKの後、次々と出現する偽ドル札。
          しかし現在は確認数が激減している。」
聞 手「それは偽札が減っているという理解ですか?」
語 手「ウルトラ・ダラーと言われる偽ドルは、印刷ミスの米造幣局ドル札
          と見分けがつかないほど精巧にできている。
          確認数が激減しているのは、それだけ世界に深く流通しているという事だ。
          このままでは基軸通貨としてあるドルが破壊され、経済混乱を招きかねない。」

聞 手「それはつまりドルが攻撃されているという理解ですね?いったいだれが?」
語 手「ならず者国家が国をあげて偽ドルを印刷しているようだ。
          これはドルだけでは無く、明らかに世界経済へのテロだ。」
聞 手「当のアメリカはどうなんです?印刷ミスを流通させる許容範囲が広すぎるから
          発見を難しくしているんでしょう?日本では印刷ミスの紙幣は流通させない
          のが当たり前ですが。アメリカの造幣局は厳しくないと?」
語 手「・・つーか、だらーっとしてんだ。」
3-03(2006年3月17日掲載)

おはよ〜。

お彼岸ですね。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
ご存知、金曜ホラー劇場。
お楽しみください。


16日午前2時ころ、停泊中の大型豪華客船「飛鳥U」の廃油を処理しようと
近づいた小型タンカー第10朝朋丸は、誤って飛鳥Uの船尾に衝突した。
軽い接触だったので、幸い双方けが人は無かったが、
飛鳥Uの船体が30センチほどへこんだ。
飛鳥Uが28,856トンなのに比べ、第10朝朋丸は194トン。
あまりにも大きさに差があるので、飛鳥Uの船長は軽い衝撃を感じたが、
船のどこで起きた衝撃かすぐには分からなかった。
船尾に近い部分に第10朝朋丸を見つけ、船長は言った。
「そんな所におっタンカー!」
3-04(2006年3月24日掲載)

おはよ〜。

さくら、開花ですね。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
ご存知、金曜ホラー劇場。
お楽しみください。


王ジャパンの、WBCでの活躍に影響されて、
会社の同僚達が寄り集まったにわか草野球チームができあがった。
キャッチャー「プロテクターとレガースは?マスクは?ミットは?」
用具係り「ごめん。プロテクター手に入んなかった。代わりに座布団まいてくんない?」

キャッチャー「えっ!座布団?みっとも無いじゃん!」
用具係り「ミットはあるよ。」
3-05(2006年3月31日掲載)

おはよ〜。

満開です。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
ご存知、金曜ホラー劇場。
お楽しみください。


葛飾北斎の浮世絵は、フランス印象派にも深い影響を
与え、海外でも彼のように大胆な構図と独特の筆運びの
絵画を描く画家は、「Hokusai」と呼ばれ賞賛された。
やがて「Hokusai」はエキゾチックな画風の画家を
賞賛する日本語から出た英語圏の一般名詞になった。

鶴岡元太郎は、この画風がニューヨークで評判になり、
ソーホーで開いた個展に来場した人々は皆彼に賞賛を贈った。
だが元太郎はその複雑な心境を日本の友人に漏らした。
「なんか、褒められてる気がしないんだ。皆口々に言うんだ。
『Oh! You are really a Hokusai!』」
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