Weekend Theater 2002年1月号

このページに掲載されている記事の著作権は著者「安田 昇」にあります。
転載、転用はご自由ですが、著作権は放棄しておりません。
1-01(2002年1月4日掲載)

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
御存じ金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。


「どうしても、会わなきゃなんねー。」
そう男が言い残して村をでてから、
かれこれ1年半が過ぎようとしていた。
世紀の超能力者、「空海」を尋ね、
何年も続く飢饉と戦を彼の能力で止めてもらおうと思い立ち、
男は全ての財産をこの旅につぎ込んだ。
ことごとく、男が見こんだ場所で出会える僧は、
全て伝説の「空海」では無かった。
だが、資金が尽きてもう1ヶ月になる。
もう、その旅もいよいよ最後となった。
男は1週間満足に食べていなかった。
男が最後に選んだ場所で修行する僧は、
今までで一番みすぼらしかった。
男はこれも違うだろうと落胆したが、
最後の力を振り絞ってその僧にたずねた。
「あなたは…。」
そのとたん、男の腹が空腹にうめいた。
その音を聞いたその修行僧は、
魔法のように懐から握り飯を出して言った。
「くうかい?」


1-02(2002年1月11日掲載)

おはよ〜。

今日は暖かい1日だそうです。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
ご存知金曜ホラー劇場。
お楽しみください


考古学者「稲作はいまからおよそ1万年前に始まり、
          日本には縄文時代に伝わった。」
学生   「初めて見た人間はどう思ったんでしょうね。」
考古学者「それは名前に現れとる。」
学生   「え?なんてです?」
考古学者「こりゃイーネ。」
1-03(2002年1月18日掲載)

おはよ〜。

震災を忘れない。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
ご存知金曜ホラー劇場。

先週のカウンターメールをいただきました。
まずはその作品から。
お楽しみください


HK在住の主婦の方から。
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学生「初めて見た人は、この世に、まだいるんでしょうか?」
考古学者「そりゃ、イネーだろう。」

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ありがとうございました。

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イギリス人地質学者モーリス・レイブンは少し興奮していた。
彼の予想通り、愛媛の石鎚山渓流に銅が出たと通訳が彼に伝えたからである。
神聖な領域と言われ、村人が足を踏み入れたがらない渓流の奥で、
ついにそれを発見したらしい。モーリスは緑色に輝く鉱石を思い描き、
自分の目で確かめたいと、その奥地へ出かけることにした。
「このちょっと先だそうですよ。発見したのは。」
案内人が息を切らせながら言った。
木々に囲まれたその渓流は、3月の雪解け水が清涼な流れを造り、
すぐそこにいる春に暖められた空気との温度差が、
行く手を阻むように神秘的なもやを立ち上らせていた。
宗教が何であれ、その様子は確かに「聖域」と呼びたくなる。
「隠れて!」
案内人がモーリスの袖を引き、二人は大きな花崗岩の影に隠れた。
案内人はそっと向こうの様子をうかがいながら、小声で言った。
「博士!ほら、あそこですよ。」
そこには小学生ほどの人影らしきものがあった。
良く見ると、銅鉱石のように全身緑色で背中が茶色かった。
しかも頭には皿が乗っていた。
「博士、かっぱーです!」
1-04(2002年1月25日掲載)

おはよ〜。

今月最後の金曜です。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
ご存知金曜ホラー劇場。
お楽しみください


ある居酒屋で、同じ会社の部長と部下がスキーの話を
していた。
社員A 「この冬はテロで海外に行かない組や
      オリンピックに刺激されたぞ組やらで
      もうスキーヤーでごったがえしてるね。
      ゲレンデ。」
社員B 「そうだよね〜。しかも、若い連中に
      スノーボードがおおはやりだしね。」
社員A 「そうそう。あれ、邪魔だよね〜。危ないし。」
社員B 「ほんと。」
部長  「なんだ、君達。若いくせにスノーボード差別しちゃ
      いかんな。」
社員A 「あれ?部長気にならないっすか?」
部長  「私はだってほら…。これだから…。」
  部長はおもむろに箸を一本右手に持ち、突き出した。
社員B 「何です?」
部長  「棒だー。」
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