Weekend Theater 2001年3月号

このページに掲載されている記事の著作権は著者「安田 昇」にあります。
転載、転用はご自由ですが、著作権は放棄しておりません。
3-01(2001年3月2日掲載)

おはよ〜。

もうすぐ桜だっちゅうのに。
寒いです。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
御存じ金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。


古賀幹事長の、(水門開けてもいいんじゃないか)発言等で、
諌早湾干拓事業で被害を受けたらしい漁民に対し、
一貫して冷徹だった農相は、一気に批判の矢面に立った。
記者 「農相、本来犯人説が浮上した段階で中断し
    調査するべき諌早の干拓事業の、
    続行を容認している事について、
    被害を受けたかもしれない漁民に
    まず謝罪すべきだと批判が高まっていますが。」
農相 「・・・ぎょみんね・・・。」


3-02(2001年3月9日掲載)

おはよ〜。

なんでしょうか、この寒さ。
(いや、気温の話しです。本文でなくて。)。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
御存じ金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。


有名写真家の寺沢は、写真教室の講師として
スタジオにいた。
雑誌社のたっての頼みで、読者サービスの企画
に仕方なく協力する事になってしまった。
こんな企画当たる分けないからいやだった。
案の定、応募してきたのはたった3人だった。
その中にその男がいた。
長く伸ばした髪を後ろの高い位置で結び、
少しくすんだ黒の、着込んでいるのだろう、
襟元が所々擦り切れたように白んだ作務衣
を、その男は見事に着こなしていた。
寺沢は彼がタイムスリップしてきた武士では無いかと、
やけにリアルに思った。
寺沢はしゃべらせてみたいと思い、花瓶の花を指し、
「君、この花、なるべくカメラ近づけて撮ってみて。
わかるよね?」
と、問いかけて見た。
彼はちょっと間を置き、低い、重い声でつぶやいた。
「せっしゃか。」


3-03(2001年3月16日掲載)

おはよ〜。

春一番。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
御存じ金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。


特異な作品群の評価だけでなく、
その奇行でも知られるサルバドール・ダリは、
「私がシュールレアリズムそのものだ。」
と豪語していた事でも有名だった。
彼は晩年、故郷のスペインの小さな田舎町で、
納屋を借りて、やはり晩年製作に情熱を注いだ
オブジェの個展を開いた。
彼は一番気に入っていた
「不思議の国のアリス」の像の横で、
茶色い布をかぶってうずくまり、目だけをぎょろつかせ、
鑑賞に来た客を驚かそうと機会を伺っていた。
そこに少女が近づいてきた。
(キャー!)という悲鳴を期待して、彼はかぶっていた
布を勢い良くはねのけた。
少女は叫んだ。
「あんたダリ?」


3-04(2001年3月23日掲載)

おはよ〜。

いやっほ〜。
暖かくなってきました!

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
御存じ金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。


「時間の隙間」
シリーズ ディック・ハワード8

ディック・ハワードの住むマンションの隣に、
おませな女の子が住んでいた。『まり』と言う小学一年生の彼女に
エレベータで出会うのだが、外人が珍しいのか
とても愛想良く話しかけて来るので、彼もついつい饒舌に
なった。日本語の練習に、彼女の単語は解りやすくて助かったし、
彼女も英語を聞きたがった。
ある日、彼女の母親だと言う女性とエレベータで
一緒になったのだが、彼女は困った顔でこう言った。
「アメリカではどうだか知りませんが、日本では甘いものは
虫歯になると教えています。うちの子は娘ですから、歯並びは将来
大切ですので、あまり非常識な事はお教えにならないで下さいね。」
どうしても解せないディックは、後日女の子とエレベータで乗り合わせた
時に問いただした。彼女は心外だと言う顔で言った。
「あら、お母さんにはいつもディックさんに習った事を話しているのよ。
この間だって、ディックさんに会ったって言ったら何を習ったのって
聞くから、その時教えてもらった英語を話しただけだわ。」
「ソノトキ、ボク、ナニオシエマシタ?」
「蜂蜜はハニイイ」


3-05(2001年3月30日掲載)

おはよ〜。

さくら、咲きましたね。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
御存じ金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。


パンの老舗、金村屋では、
商品開発の責任者達が集められ、
最近の売り上げ低迷に社長の檄が
飛んでいた。
「いいか諸君!このデフレ経済の中、
売り上げを伸ばすのは値頃感と話題性だ!
ちょうど今年はイタリア年と言う事で、
イタリアの文化が注目をあびている。
何か良い商品を考えてくれ。
いいか!いちごジャム、うぐいす餡、
生クリームの三色ぱんでイタリアンカラー
なんて安易な物はダメだぞ!
少しひねりを加えてくれよ。」
数日後、商品開発責任者達は自信作だと
試作品を社長の前に差し出した。
見た所、何のへんてつも無い餡パンだった。
「ほう。どこに工夫があるのかね?」
と言いながら社長はその試作のパンを
二つに割った。中にはほんのちょっとだけ
あんこが入っていた。社長は叫んだ。
「あんちょび!」


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