Weekend Theater 2001年2月号

このページに掲載されている記事の著作権は著者「安田 昇」にあります。
転載、転用はご自由ですが、著作権は放棄しておりません。
2-01(2001年2月2日掲載)

おはよ〜。

冬は寒いです。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
御存じ金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。


「我が社も時代に乗り遅れないよう、
E-コマースを推進する!ついては皆、
それぞれ明日までにアイディアを出すように。」
PCではかなり同期に遅れをとってしまった藤田は、
夜の繁華街をすっかりくさって歩きながら、
今朝の会議での社長が、やけに力んで言っていた事を思い出していた。
(なにがE-コマースだよ。リストラの言い訳に
きまってる。・・・いいアイディア無いだろうか。)
その時、男が近付いて来て耳打ちした。
「いいこぃます・・・。」


2-02(2001年2月9日掲載)

おはよ〜。

まだまだ寒いんですが、
梅が咲いてました。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
御存じ金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。


河野外相 「ええ、機密費につきましては、
      相当の人間に監視をさせる事
      としまして、担当事務次官を選ぶよう
      提案させていただいております。」
官代表  「そんな逃げ!結局同じ省の人間が、
      お互いをかばいやすくするだけじゃないのか。
      ちゃんと監視出来る保証があるんでしょうね!」
河野外相 「ええ、資料にございますように適任の出身者を
      選任する予定であります。」
官代表  「適任の出身?どこです?」
河野外相 「君津市大井戸・・・。」


2-03(2001年2月16日掲載)

おはよ〜。

野党に首相交代が出来るんでしょうか?

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
御存じ金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。


彼は駅前でお祝の花を買いながら、
部長の家の場所を尋ねて見た。
「ああ、あのリフォームした
家ね。それはそこの角を左に
曲がって・・・。」
(リフォーム?二世帯住宅に
建て替えたんじゃないのか?)
確かに部長は「ついに家も二世帯
住宅だよ。」とは言ったが、
建て替えたとは言って無かった。
(新築祝いを持って来たのは
間違いだったか?だが二世帯だったら
当然建て替えだろう・・・)
ちょっと不安になりながらも
彼は花屋の教え通りに道を進んだ。
やがて見えて来た家に彼は愕然
とした。道路に面した部分だけ
ビルのように見えるつくりなのだが、
良く見ると裏側は、前と同じ平家
だった。かれはひとりごちた。
「にせたい住宅!」


2-04(2001年2月23日掲載)

おはよ〜。

いきなり暖かくなって、
ちょっとウキウキです。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
御存じ金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。


食で有名な評論家、山岡 鉄船は、
少々の後悔と共に、渋谷の猥雑な裏通りを歩いていた。
滅多に料理店など薦めない、雑誌社の編集長をしている友人が、
(あの多国籍料理をだす店は、さすがの君も
驚くはずだ。是非お勧めするね。)と、
めずらしく熱心に勧めるものだから、ついその店を
探して不慣れな場所を歩き回っている自分が少々歯がゆかった。
看板がカタカナで書かれている以外、
想像したよりずっと落ち着いた雰囲気のその店は、
期待を裏切る味の良さだった。
多国籍料理と言えば、エスニックなスパイスが
きつい事を指すと言わんばかりに、どの店も同じ様な料理を
出す事が多く、鉄船は好きになれなかったのだが、
この店のスパイスは違っていた。
何とも言えない下品なような上品なような、
懐かしいようなその香りは、今までに無いスパイスを
使っているに違いなかった。
鉄船は料理長をどうしても呼べとダダをこねた。
出てきた中東の出らしい料理長は、いつも聞かれているのだろう、
(案の定)と言う表情とともに、赤っぽい色の木の皮を彼に差し出した。
「コレ、ワタシミツケタスパイス・・・。」
かたことの日本語で言われるがまま、鉄船はその木の匂いを嗅ぎ、
思わず叫んだ。
「うわっ!たこくせー木!」


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