Weekend Theater 5月号

このページに掲載されている記事の著作権は著者「安田 昇」にあります。
転載、転用はご自由ですが、著作権は放棄しておりません。
5-01(2000年5月5日掲載)

おはよ〜。

連休の中日、良いお休みを
御過ごしですか?
(月曜に読む方、連休は如何でしたか?)

さて、いよいよ週末。
一服の清涼剤。
御存じ金曜ホラー劇場。
今週はスペシャルゲスト、
建築家で風水師の
ドクターコッパの登場です。
お楽しみ下さい。


ドクターコッパ「なかなか趣きのある建物ですな。
         で、どんな問題が?」
古家具屋社長「ええ、江戸時代の建物をちょっとだけ
        改築して店にしたのですが、お客様も
        従業員も建物に入ると目眩がするって
        言うんです。何か風水の問題でしょうか・・・。」
ドクターコッパ「うーむ・・・。
         社長、どんな建物を改築しました?」
古家具屋社長「・・・蔵・・・。
5-02(2000年5月12日掲載)

おはよ〜。

梅雨のような雨降りです。
いかが御過ごしでしょうか。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
御存じ金曜ホラー劇場。
今週はちょっと長めの
訳本風。
お楽しみください。



彼、フィリップ・マーレイがここに
投資専門の顧問事務所を構えて、かれこれ12年になる。
(さしたる冒険もなしにここまで来たが、
俺もそろそろ勝負の時と言うことか・・・。)
ソファの背もたれに深くもたれ、
フィリップは腕を組み目を閉じたまま深く深呼吸をした。
CIAのIDを見せた、エドワード・オグマと名乗るアジア系のその男は、
テーブルを挟んだ正面のソファに斜めに浅く腰をかけ、
テーブルに置いた大きな茶封筒を左手でたたきながら
落ち着きの無い声で説明をしていた。
「良いですかマーレイさん、ワシントンの農務省が
穀倉地帯の軍事衛星写真でその年の作柄を占い、
その発表がマーケットを左右する事はご存知でしょう。
全ての投資家が欲しがるその衛星写真が
ここにあると言っているんです。しかもたったの20万ドルでね。
私には借金が返せるだけの大金だがね。」
エドワードはせわしなく額ににじんだ汗をふいた。
確かにそうだ。これで今年のとうもろこしの相場が決まる。
発表前に判っていればとんでもない金額が稼げるだろう。
20万ドルは安い。
「よかろう!」
かっと目を見開いたフィリップは懐から小切手を取り出し、
急かされたように金額を書き込むとサインもそこそこに彼に手渡した。
エドワードはポケットにしまいもせず風のように事務所を出て行った。
・・・・
市場が開くと全財産をつぎこみ、とうもろこしを買って買って買いまくった。
農務省の発表まで1時間。いくら買えるかが儲けの大きさになるはずだ。
なにしろ発表は「凶作」になるはずだから・・・。
しかし農務省の発表はまったく逆だった。
「豊作」
彼はふるえる手で衛星写真を良く見なおした。
「ああ!こりゃエセ写真だ!」
5-03(2000年5月19日掲載)

おはよ〜。

夏がすぐそこまで来ています。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
御存じ金曜ホラー劇場。
今週は新アクション巨編、
「諜報員 海江田 賢シリーズ」
の第二回です。お楽しみください。

「諜報員 海江田 賢シリーズ」
第二回
「ムー大陸」

横浜港に着いた外務省特殊任務事務次官海江田賢に、
双眼鏡を渡しながら部下が説明した。
「あそこの船着き場に集めてある一団が、自称
ムー大陸の生き残りで、難民認定を求めている
連中です。なんでも隠れ住んでいた所が
内戦で戦場になったとか・・。
御覧のようにちょっと変わった
難民でして・・。」
「・・ムー大陸からの難民?」
呟きながら見た双眼鏡の向こうには、
ちょっと信じ難い難民たちが見えていた。
ありくいの姿そっくりだったり、かかしみたいな
格好にギターを持っていたり、みどり色のかばそっくりの
難民もいた。海江田はうなった。
「・・・ムーミン?」
5-04(2000年5月26日掲載)

おはよ〜。

暑くなってきましたね〜。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
御存じ金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。

大阪、宮ノ森の工事現場から、恐竜の化石が出た。
東京の大学から調査にやって来た、その道の権威とされている二人の
博士が、現場監督の案内で出土現場にやって来た。
まだ、半分土に埋もれた化石を見て、二人の博士は意見が食い違っていた。
「この化石の出方は白亜紀最後のあたりの特徴がでている。
約6千7百万年前あたりじゃないだろうか。」
「いや、この地層を見たまえ。白亜紀の地層より前だろう。
約8千万年は経っているぞ。」
「何処をみているのかね。この種の恐竜がそんな前にいるはずなかろう。
せいぜい6千7百万年だ。」
「何を言うか!事実地層が物語っておる!
8千万年だ!」
「馬鹿を言うな!6千7百万年だ!」
「そっちこそ馬鹿を言うな!8千万年だ!」
二人は睨み合って声を荒げた。
「6千七百万年!」
「8千万年!」
見かねた現場監督が割って入った。
「何してまんねん!」

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