Weekend Theater 7月号

このページに掲載されている記事の著作権は著者「安田 昇」にあります。
転載、転用はご自由ですが、著作権は放棄しておりません。
7-01(2000年7月7日掲載)

おはよ〜。

大きな台風接近中です。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
御存じ金曜ホラー劇場。
お楽しみください。

ドキュメンタリー
「それぞれの『IT革命』」

19歳 男性 フリーター

「おれっすかぁ?IT革命?彼女、田舎にいるんで便利っすよぉ、
メール。ほら、このディスプレイの娘が彼女。これ添付書類の写真ね。
かわいいでしょ?・・・ん〜、すっげ〜アイテーッ。」


26歳 女性 大手会社OL

「IT?ええ、会社では常識。彼との連絡にも欠かせないです。
でも彼の携帯、女性からのメール多いみたい。見ちゃったんです。
愛してるなんて言ってたのに。この頃疑問です。何でしょうね。
アイッテ。」


39歳 女性 会社役員

「当然でしょ?これからの世界、ITが無きゃ淘汰されるわよ。
もう未だにメールも無いような会社、アイテーじゃないわ。」


52歳 男性 会社員

「ええ・・・。苦労してます。なじまないですねぇ。このマウスとかがねぇ。
指がこう、うまく動かないんですよ。それにキーボードでしょ?
慣れないですねェ。ほら両手でこうやって打とうとするとね・・・
ああっ、ほっ、ほらっ、指がつったぁ〜!アイテッー!」
7-02(2000年7月14日掲載)

おはよ〜。

今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
御存じ金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。


その男は自分が狼男である事に、
ようやく慣れて来た所だった。
(満月の光さえ浴びなければ、
別にどうと言う事はない・・・。)
男はごく普通に生活をし、
ごく普通に仕事をしていたのだが、
あるミスがきっかけで上司から
陰湿ないじめにあう事になってしまった。
社内恋愛に発展しそうだった女性も、
それと感ずいた上司が退職に追い込んでしまった。
男は復讐を誓った。
その上司が必ず金曜に、夕方から接待で
いつも決まった店に行く事を、男は掴んだ。
その週の金曜は、好都合に満月だった。
(目の前で変身してやろう・・・。
そして・・・クックックッ・・・。)
男はまだ日があるうちにその店の
前の店に入り、機会を伺っていた。
月が高くなり、上司が上機嫌で店を出て来た。
(今だ!)
男は上司の前に飛び出すと、月の光を浴びようと
空を仰いだ。だがその日、千七百年に一度の
長時間皆既月食が起きていた。
空には光の無い、赤黒い月が浮かんでいた。
男は叫んだ。
「げっ!ショック〜!」

(実際7月16日から17日に掛けて、
1700年に一度の1時間47分にも及ぶ
皆既月食があります。晴れていれば
地球の影にすっぽりと入った月が、
オレンジから赤黒い色で、
ポッカリと暗い空に浮かぶ、
幻想的な天体ショーが見られる
事でしょう。)


7-03(2000年7月21日掲載)

おはよ〜。

あっついですね〜。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
御存じ金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。


首相はIT音痴と陰口をこれ以上叩かれないように、
首相官邸にインストラクターを招き、
PCの使い方の特訓をしていた。


 「君、なんだか画面が真っ青になったよ?
  なんだね?こりゃ。」

インストラクター 
 「あ、首相、エラーが出てますねぇ・・・。」

森 
 「そう?亀井君よりましじゃない?」
  森首相はあごのあたりをなでた。


7-04(2000年7月28日掲載)

おはよ〜。

今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
御存じ金曜ホラー劇場。
今週はシリーズ物です。
初めての方の為、
第一回のバックナンバーを
お付けします。
ではまずバックナンバーから。
お楽しみ下さい。

「時間の隙間」
シリーズ ディック・ハワード1

彼、ディック・ハワードは日本で初めて回転寿司に入った。
元来好きな寿司は彼の住んでいるニューヨークでも
良く食べてはいたのだが、さすがに回転寿司は初めてだった。
目の前を流れて行く寿司にちょっと面食らいながらも、
次々に皿を取ったのだが、あいにくとその中には
自分の好物のねたが無かった。
横に座っていたお客が注文するのを見て、
普通の寿司屋のように注文もできるのだと知り
ちょっと安心した彼は、それならばといつもニューヨーク
の寿司屋でやっているように、
自分の好物の日本語名を板前に向かって叫んだ。
「ハマ-チ!」
板前はレジに向かって叫んだ。
「は〜い!外人さんおあいそ!」


「時間の隙間」
シリーズ ディック・ハワード7

ディック・ハワードは日本の文化に
もっと触れようと、蕎麦打ちを習った。
彼は自分で打った蕎麦を振るまおうと、
自宅に友人を呼び目の前で打って見せた。
友人達はみな短い時間で上達した彼に
感嘆の声を上げた。
自宅のキッチンは狭いので、
彼は独り分づつ茹で振るまった。
だが先に食べ始めた一人は茹で上がりを
待っている女友達に耳打ちした。
「ちょっと茹で過ぎだな。」
彼女は茹でようとしている
ディックに声を掛けた。
「ディック、かためで茹でてね。」
ディックは茹でている間中
彼女に片目をつぶって見せた。


Weekendのトップに戻ります