Weekend Theater
4月号-4
i-mode版

4-05
(2011年4月29日)
おはよ〜。

黄金週間ですね。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、
一服の清涼剤。
御存じ、
金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。


エスパー坊主 法然 9

春の日差しがやさしくお堂の一部を照らし、
少し土の香りがするやさしい風が流れていた。
法然は師匠の泰然に呼ばれた。
「法然、今日は海外からお客様だ。美術関係の方だが、
当山の保管するあの能面が見たいそうだ。」
「え?お師匠、あの厳重にお経の封で閉ざされた能面ですか?」
「そうだ。だから心せよ。」
「・・わかりました。」
能面は翁の面で、持ち主のシテ方が次々精神に不調を来たしたため、
妖気の翁面と噂され、最後の持ち主がこの寺に寄贈したものだった。
美術的には運慶派の作品であろうと言われ、歴史的にも重要だろうと言われていた。

「Hi,how's go'ing men.」
法然は英語がわかるわけではないが、
ロジャーと名乗るその恰幅の良いまだ若そうな黒人男性の話し言葉が、
映画のチンピラのような言葉使いのように思えた。
通訳によると、彼は映画関係の特殊美術担当で、
世界のおどろどろしい物を勉強の為見てまわっているそうだ。
ここの面も、何処かでそのエピソードを聞きつけてきただけで、
歴史的な興味はなさそうだった。
泰然が真言を唱えながらゆっくりと箱の封をはがしはじめると
中から異様な雰囲気が法然に伝わってきた。
泰然が蓋を取ると同時に法然は緊張のあまり妖気を抑えようと念を送ってしまった。
法然の念で中の面が少し箱から浮いてすぐまた箱に戻った。
ロジャーは腰を抜かすほど驚いて叫んだ。
「Oh!NO!Men!」
泰然は感心したように言った。
「良くご存知で。」
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