Weekend Theater
9月号-2
i-mode版

9-02
(2009年9月11日)
おはよ〜。

朝晩に秋やってきてますね〜。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
ご存知、金曜ホラー劇場。
お楽しみください。


新人記者サエコ3

「伝説のトレーダー」

JJモレガン社で伝説のトレーダー"F"と呼ばれた男が、
兜町で密かに話題になっていた。
「"F"が今度はチームを組むらしい。」
「"F"がトレーダーをリクルートしているらしい。」
「優秀なトレーダーを抱えている証券各社はヘッドハンティングに
戦々恐々としているらしい。」
サエコは例のバーでこの間の「ハゲタカ」に噂の真相を聞いてみる事にした。
「君は物怖じしないね。そんなことストレートに聞かれるのは初めてだな。」
ハゲタカは愉快そうに笑いながら携帯で何処かに電話をした。
「1時間でこの店に来る。私たちも移動しよう。」

恐ろしく煌く夜景が絵画のように窓枠へ切り取られた
高層ビルの最上階にある会員制のカフェバーの個室に現れた
”F"は、ぼさぼさの髪によれよれのチノパンツで、でっぷりした胸に「虚弱体質」
と白抜きで書かれた黒いTシャツを着ていた。
「よう。彼が伝説のトレーダー"F"だ。なんだか風采はアキバによくいる
オタク系だろ?」
"F"に声をかけたハゲタカは、サエコに向き直るとそう言い、サエコを紹介した。
「彼女が噂の記者、サエコ君だ。地味〜な感じだろ?でも結構パンチがきいてるんだ。」
サエコはいきなり本題を聞いてみた。
"F"は少しどぎまぎし、ハゲタカはうれしそうににやにやしながら「な?」と"F"に
ウインクした。
「優秀なトレーダーを集めているそうですが、誰とお会いになったんですか?」
"F"はハゲタカをちらと見て、ため息をつくように有名なトレーダーの名前をあげた。
「そうそうたる面々ですね。誰と契約を?」
矢継ぎ早のサエコの質問に、"F"も少し楽しんでいるようだった。
「だめだね。会う人間会う人間ピリッとしない。」
「それはどんな意味ですか?優秀なトレーダーではなかった?」
「ああ、みんなとれーだ。」
 驪9月号のトップ
 戀Weekendのトップ