Weekend Theater
10月号-1
i-mode版

10-01
(2009年10月2日)
おはよ〜。

じめってしてますね。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、
一服の清涼剤。
御存じ、
金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。


新人記者サエコ6

「情報屋」

「政権が変わると経済界ではそれまでのモラルがガラッと変わる。
今それを証明しよう。あの男は前政権では情報屋として働いてくれた
下級官僚だ。金が大好き。前政権の雰囲気は何でもありだったからな。」
不敵に微笑みながら、いつものバーでグラスを口に運ぶハゲタカは、
こちらに向かって歩いてくる、気の弱そうな顔つきとは違って
高級なスーツに身をくるんだ小柄な男をあごで指した。
サエコはハゲタカの隣から、ちらりと振り返った。
男が席に着くと、ハゲタカは懐から茶封筒を取り出し、男の前に
滑らせた。
「この間の謝礼だ。」
男はちらりとサエコを見た。
「ああ、この女性は気にするな。ソースの保護はジャーナリズムの基本だ。」
ハゲタカの言葉に男は驚いて言った。
「え?記者さん?・・いや、困ります。今は前と違ってみんなこういう事にぴりぴり
してるんですよ。ばれたら大変な事になります。」
ハゲタカは笑いながら言った。
「これは前政権で働いてもらった時の謝礼だ。もう内閣総辞職後だ。時効だろう。
どうしたんだ。ちょっと前ならそんな気回しする前に封筒は懐に入っていたろう。」
男は額に汗をにじませながら言った。
「記者さんの前で・・。私にはそんな度胸・・。しゃれになんないですよ。」
ハゲタカはサエコにウインクしながら言った。
「変われば変わるもんだ。手もつけないどころか、しゃれにもならんと。」
サエコは男に突然聞いた。
「しゃれーにもならないって・・。少ないって事ですか!?」
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