Weekend Theater
10月号-3
i-mode版

10-03
(2008年10月17日)
おはよ〜。

秋晴れ。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、一服の清涼剤。
ご存知、金曜ホラー劇場。
お楽しみください。


同情を買うようにわざとらしくうらぶれた服を着た、
どこがと言うわけでは無く汚れた印象の、若そうなのに
年寄りの匂いがしそうなその女性は、駅前の広場に立ち、
落ち着かないように通行人を物色していた。
ぼうっと、体の輪郭がはっきりしないのではないかと思えるほど
意識がここに無いような表情の男が、ゆっくりと彼女の前を通り過ぎようとした。
獲物を見つけた彼女の唇の端が少し上がった。
「恵まれ無い子供たちに、愛の手を!」
彼女は彼の行く先をさえぎるように、子供の難民の写真をコラージュした募金箱を差し出した。
大抵の無意識なばか男の財布は、上目使いで訴えるように眉を寄せた彼女の表情に気前が良くなる。
だが、その男は少し違った。
「・・ああ・・。はいよと。」
そういって黙りこくった。財布を取りだすしぐさも無い彼に、彼女は切ない表情に気合を込めた。
「どうか!少しでも愛の手を!」
「・・あ、はいはいと。」
「恵まれない子供たちです!あなたの愛の手を!」
「・あ、よっしゃ、よっしゃ。」
何度か繰り返すうち、彼女はぴんと来た。
「もしかして・・・合いの手いれてます?」
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