Weekend Theater
3月号-1
i-mode版

3-01
(2006年3月4日)
おはよ〜。

ひな祭りですね。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、
一服の清涼剤。
御存じ
金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。


少年は毎朝勤勉に新聞を配って回った。
少年の担当区域はお屋敷が多く、門から門へ回るのは
結構大変な作業だったが、まだ薄暗いうちから
彼はまるでマラソン選手のように忍耐強く仕事をこなした。
ある朝、あるお屋敷の門にある新聞受けに
いつものように新聞を入れようとすると、門柱の上に人影があった。
その人影は、こちらを見て口に一指し指を当て、「しーっ。」と言った。
良く見ると、手には刃渡りの長い包丁をきらめかせていた。
しかし少年はひるまなかった。
「あっ!泥棒!泥棒だー!」
少年は大きな声を上げ、路地を曲がった先にある交番に向かって
全速力で走った。うしろで門柱を飛び降りる音がした。

生憎泥棒は逃したが、彼の行動はそのお屋敷の主人に伝わった。
警官と現場検証に現れた少年に、お屋敷の主人は礼を述べた。
「ありがとう。君は勇敢だね。」
少年は照れながら答えた。
「いえ。朝刊です。」
 驪3月号のトップ
 戀Weekendのトップ