Weekend Theater
9月号-3
i-mode版

9-03
(2002年9月20日)
おはよ〜。

本格的な秋の到来です。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、
一服の清涼剤。
御存じ、
金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。


その小さな南部の田舎町にある警察署の、少し軋む埃っぽい入り口を入ると、南部訛りの大声が聞こえて来た。
特務捜査官ジェニー・オコンナーは、相撲レスラーのような腹をした、バッジがボタンほどに見える大男の巡査の前に座った、その大声の主のじいさんを眺めながらCIA長官の言葉を思い出していた。
(オクラホマの田舎町に、炭疽菌をばらまいているばあさんがいると、現地の警察署から連絡があった。
真偽を確かめて来たまえ。)
「だからうちのばあさんと来たら、何すっか分かんねェ。何度も言ってっけど、ほんとに炭疽菌ばらまいてくるって出かけたんだってぇ。
あん?どこで手に入れた?
そんなこたぁ知るけぇ。
ばあさんなら大統領のプレッツェルだって手に入れらぁ。」
じいさんは疲れる様子もなく大きな声を出し続けていた。
電話がなり、巡査はほっとしたような顔をその男に向けながら受話器を取った。
「なに!オクラホマシティーで見つかったって?
で、被害は!
え?なんだって?…ああ…うむ…なんてこった…。」
体つきに似合わない甲高い声が次第にため息に変わっていった。
受話器を耳から離し、目をむいて巡査を見つめるじいさんに向け、ゆっくり左右に顔を振るとジェニーに向き直り、受話器を持ったまま両手のひらを上に向け、肩をすくめて見せた。
「オクラホマシティーのJCペニーで買い物しまくっているばあさんを保護したよ。
ばらまいていたのは『たんす預金』だそうだ…。」
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