Weekend Theater
1月号-3
i-mode版

1-03
(2002年1月18日)
おはよ〜。

震災を忘れない。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、
一服の清涼剤。
御存じ
金曜ホラー劇場。

先週のカウンターメールをいただきました。
まずは
その作品から。
お楽しみ下さい。


HK在住の主婦の方から。
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学生「初めて見た人は、この世に、まだいるんでしょうか?」
考古学者「そりゃイネーだろう。」
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ありがとうございました。

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イギリス人地質学者モーリス・レイブンは少し興奮していた。
彼の予想通り、愛媛の石鎚山渓流に銅が出たと通訳が彼に伝えたからである。
神聖な領域と言われ、村人が足を踏み入れたがらない渓流の奥で、ついにそれを発見したらしい。
モーリスは緑色に輝く鉱石を思い描き、自分の目で確かめたいと、その奥地へ出かけることにした。
「このちょっと先だそうですよ。発見したのは。」
案内人が息を切らせながら言った。
木々に囲まれたその渓流は、3月の雪解け水が清涼な流れを造り、すぐそこにいる春に暖められた空気との温度差が、行く手を阻むように神秘的なもやを立ち上らせていた。
宗教が何であれ、その様子は確かに「聖域」と呼びたくなる。
「隠れて!」
案内人がモーリスの袖を引き、二人は大きな花崗岩の影に隠れた。
案内人はそっと向こうの様子をうかがいながら、小声で言った。
「博士!ほら、あそこですよ。」
そこには小学生ほどの人影らしきものがあった。
良く見ると、銅鉱石のように全身緑色で背中が茶色かった。
しかも頭には皿が乗っていた。
「博士、かっぱーです!」
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