さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、
一服の清涼剤。
御存じ
金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。
CIA特務捜査官 シリーズ
「スニーキング・ジェニー」
第二回
この州ではなぜそれが名産なのか、無言で主張するような熟したオレンジ色の夕日の中に、
鈍かった境界線を、暮れて行く背景にだんだんとはっきりさせながら、
インビンシブル・セキュリティ社の白いビルが立ちはだかっていた。
CIA特務捜査官ジェニー・オコンナーの兆戦を喜んでいるかのようにそびえているシリコン・バレーのそのハイテクビルは、
いざスニークしてみると、社が主力商品として売り出しているサーバー用のセキュリティシステムを疑いたくなるほど無防備だった。
(インビンシブル・セキュリティ社が売上を伸ばしているのは、売り先にハッキングして弱みを掴み、恐喝しているからだとの噂が裏付けられる情報が入った。
社にハッカーを集めた部屋があるらしい。
ジェニー、行って確かめてくるんだ。)
局長の言葉を思いだしながら、彼女は目的の密室の、塞いである空調口に小さな穴をあけて、中を覗きこんだ。
「うっ!」
部屋から流れて出た空気から、予期しなかった刺激を受けた彼女はうなった。
「はっかじゃん!」