Weekend Theater
3月号-2
i-mode版

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「安田 昇」にあります。転載、転用はご自由ですが著作権は放棄しておりません。
3-02
(2001年3月9日)
おはよ〜。

なんでしょうか、この寒さ。
(いや、気温の話しです。本文でなくて。)

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、
一服の清涼剤。
御存じ
金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。


有名写真家の寺沢は、写真教室の講師としてスタジオにいた。
雑誌社のたっての頼みで、読者サービスの企画に仕方なく協力する事になってしまった。
こんな企画当たる分けないからいやだった。
案の定、応募してきたのはたった3人だった。
その中にその男がいた。
長く伸ばした髪を後ろの高い位置で結び、少しくすんだ黒の、着込んでいるのだろう、襟元が所々擦り切れたように白んだ作務衣を、その男は見事に着こなしていた。
寺沢は彼がタイムスリップしてきた武士では無いかと、やけにリアルに思った。
寺沢はしゃべらせてみたいと思い、花瓶の花を指し、「君、この花、なるべくカメラ近づけて撮ってみて。わかるよね?」
と、問いかけて見た。
彼はちょっと間を置き、低い、重い声でつぶやいた。
「せっしゃか。」


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