さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、
一服の清涼剤。
御存じ
金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。
有名写真家の寺沢は、写真教室の講師としてスタジオにいた。
雑誌社のたっての頼みで、読者サービスの企画に仕方なく協力する事になってしまった。
こんな企画当たる分けないからいやだった。
案の定、応募してきたのはたった3人だった。
その中にその男がいた。
長く伸ばした髪を後ろの高い位置で結び、少しくすんだ黒の、着込んでいるのだろう、襟元が所々擦り切れたように白んだ作務衣を、その男は見事に着こなしていた。
寺沢は彼がタイムスリップしてきた武士では無いかと、やけにリアルに思った。
寺沢はしゃべらせてみたいと思い、花瓶の花を指し、「君、この花、なるべくカメラ近づけて撮ってみて。わかるよね?」
と、問いかけて見た。
彼はちょっと間を置き、低い、重い声でつぶやいた。
「せっしゃか。」