Weekend Theater
7月号-3
i-mode版

掲載記事の著作権は著者
「安田 昇」にあります。転載、転用はご自由ですが著作権は放棄しておりません。
7-03
(2001年7月20日)
おはよ〜。

おあつございます

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、
一服の清涼剤。
御存じ
金曜ホラー劇場。
今週は
バックナンバーより
お楽しみ下さい。


ハードボイルドOL
「伊集院 涼子」シリーズ
第21回
「培養」

「これは・・・何てことでしょう!」
意外なほどこぎれいな実験室で、クールな涼子もさすがにうろたえた。
目の前に並んでいる少し太めの試験管をドクター・リーバイスの言われるが儘、天眼鏡で覗いた涼子は、背中がじっとり汗ばむような感じがした。
その試験管の中には、大きさにして3センチ位の腎臓が育っていた。
「発育の促進方法がこれからの課題だ。ちゃんと機能する大きさに育てるのに5年も掛かってたら、移植を待っている患者が皆死に絶えてしまう。」
「これを移植するんですか?」
「そう。これは先天的な腎疾患の患者の遺伝子から発生させた腎臓だが、健康な腎臓に育っている。これを本人に移植する。」
「なぜ先天的な異常が発現しないのですか?」
「理由はまだわからん。だがこれで腎疾患の絶滅の可能性が出る。
後は発育の時間短縮だ。そこでサー・オッペンハイマーに資金援助をお願いしている。」
「しかし、心臓や膵臓でなくなぜ腎臓なんですか?」
「だって患者が絶えないじゃない。よく言うでしょ。」
「え?」
『むじんぞう』


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