Weekend Theater
2月号-4
i-mode版

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「安田 昇」にあります。転載、転用はご自由ですが著作権は放棄しておりません。
2-04
(2001年2月23日)
おはよ〜。

いきなり暖かくなって、ちょっとウキウキです。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、
一服の清涼剤。
御存じ
金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。


食で有名な評論家山岡 鉄船は、少々の後悔と共に、渋谷の猥雑な裏通りを歩いていた。
滅多に料理店など薦めない、雑誌社の編集長をしている友人が、
(あの多国籍料理をだす店は、さすがの君も驚くはずだ。是非お勧めするね。)
と、めずらしく熱心に勧めるものだから、ついその店を探して不慣れな場所を歩き回っている自分が少々歯がゆかった。
看板がカタカナで書かれている以外想像したよりずっと落ち着いた雰囲気のその店は、期待を裏切る味の良さだった。
多国籍料理と言えば、エスニックなスパイスがきつい事を指すと言わんばかりに、どの店も同じ様な料理を出す事が多く、鉄船は好きになれなかったのだが、この店のスパイスは違っていた。
何とも言えない下品なような上品なような懐かしいようなその香りは、今までに無いスパイスを使っているに違いなかった。
鉄船は料理長をどうしても呼べとダダをこねた。
出てきた中東の出らしい料理長は、いつも聞かれているのだろう、(案の定)と言う表情とともに、赤っぽい色の木の皮を彼に差し出した。
「コレ、ワタシミツケタスパイス・・・。」
かたことの日本語で言われるがまま鉄船はその木の匂いを嗅ぎ、思わず叫んだ。
「うわっ!たこくせー木!」


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