Weekend Theater
3月号−5
i-mode版

掲載記事の著作権は著者
「安田 昇」にあります。転載、転用はご自由ですが著作権は放棄しておりません。
3-05
(2000年3月31日)
おはよ〜。

春です。いよいよ御花見ですね。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、
一服の清涼剤。
御存じ
金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。

東日大学の生産研では、蜂の巣をつついたような騒ぎだった。高速移動中でも連続的なデジタル信号の同調を可能にした、画期的な発信装置の発表があったからだ。その装置の心臓分に使われている多面体クリスタルを開発した乙坂教授の研究室は、報道陣でごった返していた。

「教授、早速ですが、例の多面体クリスタル、どんな物なんですか?」
記者の矢継ぎ早な質問に、少し白髪のまじった髪を几帳面に3分7分に分け、やはり几帳面そうにかけた眼鏡の奥で、教授の少年のような瞳がおどおどとしていた。
「正方晶系に結晶させたアルミナ化合物って言えば一番簡単でしょうか・・・。そこの棚のシャーレの中に、結晶体のサンプルが入っていますので、少し説明します。正方晶系はごらんの通り正多面体に結晶します。」
「このピラミッドを重ねたような結晶は?」
「教授、これは?」
「ま、まあそういっぺんに聞かないで・・・。それが正8面体・・・。ああ、そのシャーレが正12面体。」
「おや?このピンク色の不透明な物は?こりゃ何面体です?」
「あ・・・。それは・・私のお昼のおかず。からしめんたい。」


 驪3月号のトップ
 戀Weekendのトップ