Weekend Theater
八月号−2
i-mode版

掲載記事の著作権は著者
「安田 昇」にあります。転載、転用はご自由ですが著作権は放棄しておりません。
8-02
(2000年8月11日)
おはよ〜。

暑い日が続きます御自愛ください。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、
一服の清涼剤。
御存じ
金曜ホラー劇場。
お楽しみ下さい。

その老人は6歳の時に体験した神秘的な情景に一生を捧げていた。その時彼の前には確かに「神」がいた。
光り輝く背景の中、シルエットで手招きをするその「神」は、唇を動かすことなく彼の脳に直接語りかけてきた。
「我は生ける神なり。我の元へ出でよ。永遠をそなたにさずけん・・・。このパピュルスの草の紋章を目印となさん。」
彼の二の腕には唐草のようなあざができた。それ以来、彼にとって60年の歳月はすでに永遠に思えた。だがついに彼はここエジプトのルクソール郊外の砂漠に、彼の二の腕と同じ紋章を持つオベリスク(門の脇に立つ石の柱)を見つけた。
「おお!神よ!ついにあなたの神殿にたどり着きましたぞ!」
彼は入り口をまっすぐ迷うことなく進み、ついに至聖所と言われる神の居室に着いた。そこにはパピュルスの紋章の着いた大きな椅子に、干からびたミイラが座っていた。
(時がたちすぎましたか・・・)
がっくりと両膝をつき、うなだれた彼になんとミイラが語りかけた。
「ここは神のおわす場所ではない・・・」
彼は驚きにみちてつぶやいた。
「あれ?しんでんじゃないの?」


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