Weekend Theater
4月号-2
i-mode版

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「安田 昇」にあります。転載、転用はご自由ですが著作権は放棄しておりません。

4-02
(2000年4月14日)
おはよ〜。

暖かくなってまいりました。
さくらも終わればもう初夏ですね。

さて、今週もいよいよ週末。
一週間お疲れ様でした。
忙しい中、
一服の清涼剤。
御存じ
金曜ホラー劇場。
今週は小説風ホラー
お楽しみ下さい。

老人は長年捜し求めていた夢を、もう少しで手に入れられると思うと、体中が震えた。スカンジナビアに始まって、ヨーロッパ各地を転々と旅をし、シルクロードを通ってついにインドへたどり着いたときには、30年の歳月が流れていた。
「長い旅だった。大学院での考古学研究で出会った"キサナドゥ"の伝説・・・破壊神が暮らし、世界の始めと終わりの場所・・・・・これが実在した都市だと確信して以来、その場所を示す古文書を捜し求めてここまでたどり付いてしまった・・・。」
彼はバンガロール近くのヒンドゥー寺院で、院長が目的の古文書を蔵から運ぶのを待ちながら独りごちた。怪しげな雰囲気のその院長がうやうやしく運んできた古文書には、古いヒンドゥーで「キサナドゥ」と発音できる文字と、古代文字の数字が書かれていた。
「北・・35・22・41・218・・・東・・139・55・45・757・・・これは北緯と東経だ!やったぞ!そこにちがいない!」
狂喜乱舞しそうな勢いで世界地図を取り出した彼は、大まかなあたりをつけた。
「何と!日本の中じゃないか!」
詳しい日本地図を出し、北緯を右手の人差し指、東経を左手の人差し指でたどった。両手の人差し指が出会った場所を、彼は恐る恐る見た。
そこは「木更津」だった。


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