音のボランティア・号外
平成12年10月13日
「小生の粗忽に出ている事と・・・」
芥川の「わび状」発見される!


芥川龍之介が徳田秋声にあてた「わび状」が発見され、十月四日公表されました。

芥川は1925年11月、2年ほどかけて「近代日本文芸読本」を刊行しました。
このなかには、当時文壇の大物だった徳田秋声の作品も収録されましたが、
芥川は徳田に許諾を得ないまま刊行したようなのです。

この刊行発売直後に、芥川が自宅書斎を改装などしたため、
当時の文壇では「芥川はこの刊行で大儲けしたのではないか」という噂が流れ、
徳田がこの刊行にあたった出版社に抗議しました。

これに芥川が対応し、徳田にあてて七通ほどの書状を送っていて、
その中には「小生の粗忽、申し訳ありません。」
また別に「出版社と交渉した結果、別便の通りわび金をお送りする・・・」
というように、徳田に誠意を尽くそうとしています。

また「胃腸の調子がぶり返し、難渋して・・・」「仕事が捗らず、困って・・・」
という様に、徳田に苦しみも打ち明けているようです。

この手紙は1925年12月、1926年4月などに出されています。
この事件の後から芥川は不眠、神経衰弱などに悩み、
1927年7月に自殺していますが、この原因解明に大きな発見と見られています。
(手紙の文章は原文ではありません)



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