第2楽章に有名なシチリアーノ(特別付録ページに掲載)を持つ、
フルート・ソナタ 変ホ長調のうちの第1楽章の部分です。
ピアノが音量に変化をつけられるのに対して、
ピアノ登場以前の鍵盤楽器の代表だったチェンバロは、2段になった鍵盤と、
それらに個別に用意された弦とで、音量感を出す工夫をしています。
さらに弦に弱音装置(ミュート)をかける事によって、音量と音色に、
より多彩な幅を持たせています。
ピアノがハンマーで弦を叩くのと違い、
チェンバロは鳥の爪で弦をひっかく発音構造なので、
鍵盤をどう強く叩いても音量に変化が出ないため、
このような工夫がされたようです。
またチェンバロは鍵盤を叩いた時だけでなく、
離した時にも弦を爪がひっかくので、
音が止まる寸前、「チッ」という小さい音が出てしまいます。