「はりま地方の古寺」見学会に参加して
2000年9月30日〜10月1日の見学会に参加された方々の投稿です。 


鶴林寺 銅像背面(重要文化財)

           はりま古寺見学      藤田碩子

  新幹線を西明石で下車、外へ出ると大型バスが待っていました。
この見学会の募集は当初20名となっていたのですが、希望者が多くて急遽変更したとのこと、それだけ沢山の方が参加され、大きな期待が寄せられているのかと驚きました。
  私は東京からの車中でプリントを読み、寺々のお堂や仏像のいくつもが、国宝や重要文化財となっているのを初めて知ったくらいの全くの素人ですが、見学を終えて今、満足感と、よかったという思いでいっぱいです。

  お堂はそれぞれ立派で堂々としていて、しかも美しく、 尾根の先端にまで気品があふれていました。特に鶴林寺の太子堂は、しっとりと落ち着き、きれいで、眺めているだけで心が安らぐようでした。
  また仏像も、見上げるほど大きく、お堂いっぱいに豊かさがあふれるような阿弥陀さま、小さく、ほっそりとして線が美しく、静かにかすかな笑みをたたえる観音さまなど、みな目に焼 き付いています。

  そして普段、勉強会に参加していなくても、今回の見学で古建築について教えて頂き、 納得することが多々ありました。肘木とか組物とか、実物を示して頂くとよくわかりますし、「この虹梁がこちらを支えている」という風に、天井を見上げながら説明を受けると、建物の 構造の一部が理解できたような気分になります。
  さらに、見学しているこちらの姿勢が伝わるのか、ご説明のお坊さまのお話も、ぐっと 専門的に詳しくなったり、特別に内陣に入れていただけるなど、単なる観光ではない、なにか重いものを受 け取ることができました。

  末筆ですが、少しでも知識を持つと次の機会にはそれが生かされ、物の見方がずっと 深くなるに違いないと思っています。貴重な見学会有難うございました。



   はりま古寺見学      多賀春江

  初秋の播磨路に国宝、重文の古刹を訪ねての旅に、心の安らぎを覚えました。
深い木立のなか、見上げる階段を前に「え、あそこまで登るの!?」と言いながらも、拝観の喜び にいつしか足を速める私たちでしたが、何れの古刹も人里離れた山奥にあって、これだけの偉業を成し 遂げた古の人々のすべてに言葉もなく、唯々感嘆、頭の下るばかりでした。

  拝観の時「今私たちの立っている床板も、連子窓の一つ一つも、700年前のものですよ」とのお話に体のふるえる思いがしたり、素人の素朴なしかし熱心な質問に、お坊さま自らあれもこれもとご案内、ご説明下さいました。
「心からの言葉は心に達す」の諺通り、人と人とのふれあいと温かさをしみじみ感じました。  

小野 浄土寺 浄土堂(国宝)  大仏様建築
  今私たちが古の良きものを拝観できるのも、長い年月をここまで保存し伝えて下さったおかげという、改めての感謝の念と、この貴重なものを、この 感動を次代に残して行く責任をも考えさせられた一時でした。
  歴史を刻む古刹に、何故かしら謙虚な気持ちを抱きました。日常を離れての豊かな自然美に 、優しさと明日への活力を胸にして、実り多い見学会となりました。

   「はりま地方の古寺」見学会後記      佐々木恵美子

  今回の見学会は「はりま地方」に点在する国宝の建造物6棟のうち5棟を巡ることになりました。 参加者35名のうちに、仏像が好きな方、建築が好きな方、庭に興味のある方と、嗜好もさまざまです。

  建築の話しをここでしようとは思いません。今回私が大変嬉しく思いました事は、ご指導の仕方 によっては、全く関心のなかった方々が、興味を持って見学して下さるのだ、ということが確信できた事 です。
「こんなに建物が面白いものとは知らなかった」「勉強してみたくなった」「素晴らしい建物は 気持ちよく体を包んでくれるものなのですね」等々・・・

  何事も、その糸口が見出せることが肝心なのです。知らないことを知る喜び、もっと知りたいと いう意欲、それらが豊かな人生への広がりとなります。私自身も久々に、良い建物の見学に、すっきりした気分になれました。

 皆さんもご一緒に学んでみませんか?

     


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